イギリスの社会保障制度の費用について(駐在員用)

こちらではイギリスの社会保障のうち、国民皆保険(NHS)と社会保険(National Insurance)の
加入時の費用について書かせて頂きます。(駐在員及びそのご家族用向けです。)

要点

✔︎ NHS加入費用(IHS)は、VISA取得時に支払う。

✔︎ 日本で厚生年金に加入していれば、National Insurance に加入しなくてよい。

✔︎ イギリス国内で就労するためには、National Insurance number が必要。

Contents

国民皆保険(NHS)について

NHSとは、National Healthcare Service の略で税金で運営する公的医療サービスです。
一番の特徴は受診が原則無料という事でしょう。(処方箋や歯科など有料なものもあります。)
血液検査から出産費用まで無料(!)です。すごい。

IHS (Immigration Health Surcharge)

利用は無料ですが、6ヶ月以上滞在する外国人はNHS利用のために、IHS と呼ばれる費用を支払う必要があります。

以前は外国人も無料で使えたNHSですが、運営にもそれなりの財源が必要、という事でしょう。

2024年現在では18歳以上の場合、年間 £1,035 です。

支払いタイミング

IHS はビザ費用の一部という位置付けのため、ビザを取得する際に支払うことになります。

ビサの申請途中に、支払いページに移動し支払い手続きを行うようです。
支払い方法はクレジットかデビットで行う、と政府のページにはありました。

妻の会社は本人のビザ費用はもちろん、家族用のビザ費用も負担してくれましたので
私の分の IHS もVISA取得費用と一緒に妻の会社に支払って頂きました。

National Insurance について

National Insurance とはイギリスの年金及び特定の給付金制度を指します。

NI number (National Insurance number)

名前の通り、National Insurance を管理する番号です。
日本のマイナンバーに近く、個人を特定できる番号のため、他人に教えるべきではないと言われています。

イギリスの会社で働く場合は、この NI number を取得する必要があります。
働き始める時に無いと、申請中である事や適切な在留資格を持っている事の証明を求められることがあるそうです。

年金の拠出金(NIC : National Insurance Contribution)は会社員であれば給与天引になるかと思います。
また厚生年金のように雇用主が払う拠出金もあるため、正しく年金を払うために NI number を
雇用主に伝える必要があるのだと思います。

私は NI number を持っていません

しかしここで私の話になりますが、私は NI number を持っていません。
つまりイギリスの年金を払っていません。
NI number を持っておらず年金を払わなくても問題ない理由は以下の2点です。

1. 日本法人で働いていること

前述の通り、NI number はイギリスの年金を管理する番号です。
私の会社は日本法人でイギリスに支社・支店がありませんから、イギリスの年金制度とは関係ありません。

2. 日英社会保障協定が締結されていること

どちらかというとこちらの方が重要です。

この協定の目的の1つに、日本とイギリスの公的年金制度への二重加入の防止があります。
つまり日本の厚生年金や国民年金に加入していると、イギリスの年金への加入が免除されます。

任意でイギリスの年金に加入することもできますが
年金を受給するためには少なくとも10年間の年金の払込期間が必要です。

日英社会保障協定は二重加入こそ防げますが、日本とイギリスの年金加入期間の合算はできません
(年金加入期間が合算できる協定を結んでいる国もあります。)

つまりイギリスで年金に加入し払込期間が10年未満だと、払った保険料が無駄になってしまいます。

最後に日英社会保障協定が適用になるのは、赴任期間が一時的(5年以下の見込み)という点に注意。

赴任期間が5年を超え延長を求める場合は、別途延長申請が必要です。
延長の条件に「延長できないと重大な不利益を被る場合」とあり、その基準はよくわかりません。

社会保障協定の黄色い紙

厚生年金であれば、会社から日本年金機構に申請書を提出してもらうと
「日英社会保障協定 厚生年金保険 適用証明書」が交付されます。

用紙が黄色っぽいことから、黄色い紙(そのまま)と呼んでいますが(あるいは名前が長いから?)
この紙を使ったのは一度で、イギリスの確定申告のためPDFコピーを税理士さんに渡した時のみです。
(オリジナルは手元にあるまま何にも使っていません。)

なお、黄色い紙には、イギリスの住所も記載されているため、国内引越しをすると記載住所の変更手続きが必要です。

最後に

NHS と NI の費用関連と日英社会保障協定ついて少し書かせて頂きました。

タイトルに駐在員用と書きながら、駐在員の方はあまり気にされない内容だったかもしれません・・

備忘録が主目的のようになってしまいましたが、どなたかの参考になれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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